【漫画】将棋の渡辺くん―棋士の日常をウオッチ
藤井聡太七段が史上最年少でタイトル挑戦者に!ということで盛り上がっています。
棋聖戦で藤井七段を迎え打つのは、渡辺明三冠。めちゃくちゃ強いトップ棋士のお一人なのですが、奥さまが漫画家で、渡辺三冠を主人公にした漫画を描かれています(2020年6月現在、4巻まで発売中)。
「将棋の棋士って、普段何してるの?」という素朴な疑問に答えてくれるばかりではなく、かわいい絵柄で一流棋士の人格に鋭く切り込んでいる、読み応えたっぷりの作品です。
一流棋士ってどんな人?
これといって将棋が好きというわけでもない私のような人間からすると、将棋の棋士は「将棋が強い」ということ以外よくわからない存在です。
漫画でわかった一流棋士・渡辺明三冠の特徴をまとめてみました。
- ぬいぐるみが大好きで、お家にあるすべてのぬいぐるみに名前をつけてかわいがっている
- 虫が死ぬほど嫌いで、対局会場では虫が入ってこないかどうかチェックする
- 将棋以外のことにはあまり興味がなく、鳥の名前や花の名前にうとい
- あやとりができない
- 鉛筆削りもできない
- 漫画が大好き
…なんか思ってたんと違うけど、おもしろい方のようです。
渡辺三冠の強さの秘訣は?
この漫画によると、棋士は基本的に月に数回ある対局の日と、たまにある対局以外の仕事の日以外は自由だとか。一般人からするとついつい「うらやましい~!」と言いたくなっちゃう自由度の高さ…。旅行を楽しむ人も多いそうです。
とはいえ将棋はスポーツと同じく勝負の世界。負けが続くと1カ月休みになることも…と聞くと、メンタルを健やかに保つのは案外大変そう。
しかし渡辺三冠は「将棋に調子は関係ない」「負けたときもやることは変わらない」など、精神的にぶれない強さをお持ちの方のよう。こういった一流棋士の考え方、気の持ちようを垣間見られるのが非常に興味深いです。
うまくいかないときって、自分のやり方がよくないのでは?とか迷いがちなものです。しかし、渡辺三冠のように新しいものを積極的に取り入れつつ自分らしさも失わない姿勢は、何ごとにおいても大事なんじゃないでしょうか。
ノンフィクション漫画としてもハイレベル
身内をネタにした作品というのは、私情が絡むぶん難しいと思います。しかしこの作品は「夫は夫、自分は自分」というスタンスがけっこうハッキリしていて、とても読みやすく仕上がっています。
奥さまも将棋指しだからなのか? 姉さん女房だからなのか? 冴え渡るツッコミ、するどい質問、遠慮のないひと言などは読んでいてなかなか痛快。ラブい雰囲気やノロケ的なものが皆無なところが、個人的にはおもしろいです。こういう夫婦っていいな。
ちなみに1話から3話は講談社のアプリ「マガポケ」で無料で読めます。1話はこちら。
こんな人におすすめ
- 将棋より棋士に興味がある
- 手っ取り早く将棋界のことを知りたい
- ぬいぐるみが好き
将棋の渡辺くん(別冊少年マガジン連載中、単行本は2020年6月現在4巻まで発売中)
著者:伊奈めぐみ
出版:講談社
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