【Kindle Unlimited】凪のお暇(1)―折れたときにはお休みしよう【漫画】
秋田書店発行の月刊漫画雑誌「Eleganceイブ」で連載されている漫画です。ドラマ化に合わせてなのか、1巻のみKindle Unlimitedで読み放題になっていました。そのため今回は1巻のみのレビューです。
理想の自分に出した「お暇」
都内の企業に勤めるOL・大島凪は、女子アナふうファッションとサラサラストレートのロングヘアがよく似合うコンサバ系女子。ひどいくせ毛の自毛を毎朝1時間かけてストレートにしています。職場では空気を読むあまり同僚のおしゃべりに「わかるー」と安易に同調し、仕事を押しつけられても文句ひとついえません。
みんなに内緒で営業部のエース・慎二とつきあっていることだけが彼女の「ブランド」でしたが、ある日慎二が「今の恋人とは体目当てでつきあっているだけ」と話している場面に遭遇し、過呼吸で倒れてしまいます。
会社を辞め、家財道具を処分して郊外のオンボロアパートに引っ越した凪。ストレートにすることをやめたもじゃもじゃの髪のまま、しばしの「お暇」が始まるのでした。
ヘアスタイルは女子にとって人生の舵である
この物語は、ヘアスタイルがひとつのキーになっています。本来の凪は、アフロヘアかな?と思うくらいのもじゃもじゃ頭で、そのままにしているとめちゃくちゃ個性的なんですよね。それをわざわざ毎朝1時間かけてストレートにする情熱というか執念は相当なものです。
凪は、その名前の通り「波風を立てないように」生きることが信条なのでしょう。その結果、同僚からも彼氏からも「都合のいい存在」として見られてしまうわけですが…。
あえて個性を消して生きる「お暇」前の凪は、さながら「OLのみほん」のよう。子どものころ、人と違うくせ毛をからかわれてたのを今でもひきずってるんでしょうね。
サラサラストレートなら「おしとやか」、おさげだったら「素朴で純情」、ショートカットだったら「気が強くてボーイッシュ」など、女子のヘアスタイルはキャラクター性と一緒に語られることが多いもの。「どんな髪型をして生きるか」ということは、「どんな女子として生きるか」という点とリンクしていきます。
もし、凪が自毛のまま会社勤めをするような性格だったら、この物語はそもそも始まらなかったんじゃないでしょうか。
風が吹けば波は立つ
郊外のアパートに引っ越した凪は、同じアパートで暮らす住民たちと交流を持つようになっていきます。そう、凪は「逃げ出した」ように見えて、本当は「変化した」んです。環境が変われば、おのずと自分も変わっていきますから。
1巻では、上の階に住んでいる映画好きのおばあさんや、お隣に住むタトゥーの入ったパリピと会話を交わすようになった凪。水を差すように登場する彼氏の慎二も、凪が好きなくせに暴言を吐いて手ひどく凪をディスるという、こじらせキャラの片鱗を見せています。
サラサラストレートをやめた凪は、新しい土地で出会う人々の目にどんなふうに映るのでしょうか。続きが読みたくなる展開でした。がんばれ、凪。
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