【Amazonプライム・ビデオ】関ヶ原―戦国のヒーローは誰か

【Amazonプライム・ビデオ】関ヶ原―戦国のヒーローは誰か

Amazonプライム・ビデオで「関ヶ原」が観られるようになった!ということでさっそく視聴しました。

しかし時代劇は難しい。歴史偏差値の低い私は、人間関係や背景がさっぱりわからず「?」だらけになりかねません。そこからたどり着いた結論は、時代劇を「おもしろい」と感じるにはある程度の知識が必要だということです。

私のような人間は、時代劇をいきなり映画館で観ると「わからない」=「おもしろくない」で終了してしまうことが多いんですよね。そのため、動画配信サイトで一時停止しつつ、わからないことを調べつつ観たほうが理解が深まって楽しめます。あくまでも私の場合は、ですが。

あらすじ

西暦1600年10月21日。長く混迷を極めた戦国時代に終止符を打ち、その後の日本の支配者を決定づけた、戦国史上最大の天下分け目の決戦“関ヶ原の戦い”。その決着に要した時間はたったの6時間だった。
豊臣家への忠義から立ちあがり、史上最大の合戦に挑んだ石田三成。権力に燃え、天下取りの私欲のために戦う徳川家康。圧倒的に有利と言われた三成率いる西軍はなぜ負けたのか? そこには “封印”された真実が隠されていた! そして、三成を命を懸けて守り、愛し続けた忍び・初芽との許されない、淡い“恋”の行方は・・・。
様々な権謀が渦巻く中、多勢に流されず 己の「愛」と「正義」を信じ、貫き通そうとした“純粋すぎる武将”三成を中心に、「愛」と「野望」の激突が、今幕を開ける!!

出展:Filmarks

「義の三成」と「利の家康」

この映画のおもしろさは、石田三成と徳川家康という、2人の武将の人間性の違いを描いているところにあります。

豊臣に忠誠を誓う石田三成は、正義を追求する人。不器用で、おべんちゃらが言えない損な性格ともいえます。

対する徳川家康は、人心を掌握する術に長け、心にもないことをスラスラと口にできる人。「タヌキおやじ」というあだ名がぴったりです。表面上は豊臣家のためという姿勢を見せますが、心の中には自分自身で権力を握るという野望を秘めています。

愛すべき歴史の敗北者

この作品の家康と三成の描写は、現代人にも大いにシンクロするものがあります。

家康のように、「損か得か」を瞬時に判断し、その人がほしがっているもの(言葉やステータスになるもの)を与えて距離を詰める人って、今でもいるじゃないですか。

一方で三成は、「義」や「善」がすべての基準。さらに誰もがそれを持っていると信じて疑わないのです。

このコントラストの違いの描写が顕著に出るのが、子飼いの忍に対する態度。家康は伊賀の女忍者「蛇白」に高貴な女性からとった名前を授け、政治に関する意見まで言わせますが、最終的には自分の命を狙いに来た刺客ごと斬り殺します。

いっぽうで三成は、蛇白と同じ伊賀の女忍者「初芽」をそばに置き、やがて思いを寄せるようになります。あるとき姿をくらました初芽を心配し、老いた伊賀の忍「赤耳」に彼女の消息を尋ねる場面も。

家康の考え方は、勝者になるためには必須といえるかもしれません。でも、上司や仲間には絶対したくないタイプ。己の利益のために切り捨てられるなんて、まっぴらゴメンですよ。

家康の考え方が「現実的」なら、義を重んじる三成の美学は「理想的」といえるかもしれません。「三成に過ぎたるもの」といわれた家臣・島左近も、そんなところに惹かれたのかも、としみじみと考えてしまいました。

小早川秀秋役は東出昌大

「裏切り者」として名高い小早川秀秋を演じたのは、2020年に何かと話題をさらった東出昌大氏です。

小早川秀秋ご本人は、もともと秀吉の養子で後継者の一人として扱われていたのに、秀頼の誕生で一気に影が薄くなってしまったという気の毒な人でもあります。

さらに重度の酒飲み(もしくはアルコール依存症)だったようで、「裏切り者」といわれながら関ヶ原の戦いの2年後に死去。結果的に欲したモノを手中に収めるのは勝者のごく一部で、勝ったからといって幸せになれるとは限らないということなのかもしれません。

見どころシーン、多し

この映画、セリフが早口なうえ薩摩弁や尾張弁を使う登場人物もいて、1回でスポンと理解するのは難しいと思います。

全体的に難解ではあるものの、石田三成演じる岡田准一氏の馬術やスケールの大きな合戦の描写、ロケ地となった建物の美しさなど見どころはかなり多め。岡田くんは特に、全力で駆ける馬に乗ったまま手斧を投げて的に当てるシーンが印象的でした。

ほかの役者さんも馬に乗っていますが、三成だけ異様に速いんですよ。実際の戦国武将もこんなふうに馬を走らせてたのかな、と思いました。

「関ヶ原」を楽しむためのメモ

以下は「関ヶ原」を楽しむために調べたことのメモです。

三献の茶

子どもの三成と秀吉の出会い。茶をくれといってきた秀吉に、三成が3度にわたって熱さと量の異なる茶を出し気に入られる。

秀次の切腹

豊臣秀次(秀吉の甥)は秀吉から関白の座を継いだが、その直後に秀吉と茶々の間に秀頼が生まれたことで立場が怪しくなり、謀反の疑いをかけられて、高野山で切腹した。秀次の妻や子は全員処刑されることになる。

小早川秀秋の失脚

朝鮮から返ってきた秀秋は、筑前から越前15万石への減封転封命令を出される。

秀吉の死

秀吉の死がいよいよ近づき、秀頼に忠誠を誓う内容の起請文が作成される。秀吉が死去するが、その死は伏せられた。三成たち文治派と加藤清正ら武断派は互いに訴状を出し、溝が深まっていく。

前田利家の死、石田三成襲撃事件

1599年3月に豊臣政権の重鎮・前田利家が死去すると加藤清正ら七人党が大阪にある三成の屋敷を襲撃。三成は家康の屋敷に逃げ込み難を逃れる。

※三成が逃げ込んだ場所については諸説あるようです。あくまでこの映画「関ヶ原」は家康の屋敷に逃げ込んだというストーリーになっています。

三成、佐和山城へ

家康が七人党を説得し、三成を佐和山に蟄居させることで事態の収拾をはかる。家康の権力がさらに大きなものとなる。

関ヶ原
監督・脚本:原田眞人
出演:岡田准一/有村架純/役所広司/平岳大/東出昌大