【本】「ザ・葬儀のコツ」―親戚スルー力を身につけろ
著者は葬儀屋の三代目。映画「おくりびと」に美術協力されたそうです。
この本は、高橋さんというお客さんが事前相談から四十九日までをこなす時系列に沿って読み進む形になっていて、ご臨終だとか納棺だとか、そのポイントごとに解説が入ります。現職の葬儀屋さんだけあって、わりと現実的というか、即物的というか、そんな感じです。
しかしこの本が何よりも切々と訴えているのは、「喪主でもないのに葬儀の進行に口を挟んでくる親戚はとんでもない害悪」ということです。
すごくわかる。たとえば、故人が就職で都会に出てきてそこで結婚し、都会で生涯を終え、子どもが喪主をする、というような場合、「葬儀のために故郷からやってきた故人の兄弟」とかが「うちの方とやり方が違う、これではダメだ、あーだこーだ」と口を挟みがちです。しかし忙しいなかで時間をとられるし、だいたい誰も得しない。喪主としては、めったに会わない親戚、なかでも親の兄弟にはなかなかガツンと言いにくいので対処にも困ります。
逆にいえば、自分がそういうウザい親戚にならないために「葬儀の場では喪主を立て、喪主の意見を尊重し、その土地のやり方に従っておとなしくしていなさい」ということに尽きるかと。
東京はいろいろな地域から人が集まってくる土地ですし、「葬儀屋さん、なんとかしてくださいよ~」と泣きつかれることも多いのでしょう。きっと苦労されたんだろうな、としみじみと思いました。
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